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記事紹介:社会学者「DDRは原因ではない」-東独の外国人敵視

"典型的な東ドイツ人はいない、と社会学者のトーマス・ハンフは言う。彼はインタビューの中で、通説が正しくない理由と東ドイツで広がっている外国人敵視のふるまいの原因がどこにあるのかを説明している。さらに彼はなぜ東部で左派政党は弱くAfDが票を得ているのかも説明している。"

 

また東ドイツの外国人敵視についての記事。

今回は統計による分析。

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DDR ist nicht die Ursache“ – Soziologe über Fremdenfeindlichkeit in Ostdeutschland - Sputnik Deutschland

https://de.sputniknews.com/gesellschaft/20181002322507357-ddr-ursache-wiedervereinigung-feinde/

 

ハンフという人は長く社会学の統計をとっている学者らしい。その見地から東ドイツと外国人敵視を安易に結びつけることに反対している。実際には東ドイツ人も多様だ。しかし、東ドイツに住む人に外国人敵視の傾向があるのは事実で、事件も多い。報告によると右派過激主義や排外主義の傾向は2008年からあったそうだ。それが今も続いている。

外国人敵視の傾向は2015年にまた強まったという。この傾向の原因はDDR時代とは関係がなく、統一後のものと述べられている。

外国人敵視の要因として、労働市場や住宅市場、社会福祉などで競合者になること、犯罪率高いとされること(実際は高くない)、秩序を乱すことなどへの懸念があるそう。その不安がすぐに敵意に結びつくわけではなく、民主主義などの意識でブレーキがかかることも多いらしい。

SVRという移民統合に携わる機関が、出自の異なる人との共生には日常経験が重要だと提言している。別の研究によると東ドイツではそれが少ないそうだ。移民統合は簡単にはいかないし西ドイツでも長くかかったとハンフは言う。

東ドイツでAfDが支持を集めていることについては、一種の抗議表明で今後も続くそうだ。たとえば年金がもらえない不安からAfDが支持される。AfDは年金に関する構想をもっていないので奇妙だが、一方で左派は既存の政治勢力と見なされている。難民政策でも不満から反対の勢力が支持される。原因は多様で、他の要因として政治不信、貯蓄の少なさやグローバリゼーションへの不安もあるという。

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東ドイツ人とひとくくりにして特定の思想と結びつけるのはいけないというのはこの記事でも同じだ。DDRは関係ない、とこの記事でも言っているのはDDR時代と関係づける論が多いからだ。社会主義が失敗したり、社会主義や集産主義を騙ったりして全体主義が到来した例が歴史上にあるから、旧共産圏であることと右派ポピュリズムに関係を疑う人がいるのはいかにもありそうなことだ。しかし、フランスやアメリカも右傾化しているのだから、旧共産圏だけの問題ではなさそうだ。

ジョージ・オーウェルの『1984年』はソ連がモデルになっている全体主義国家の話だが、冷戦時には皮肉にも西側であの本が「憎悪週間」に使われていた、とトマス・ピンチョンが書いていた。憎悪週間というのは、作中に出てくる敵国や反逆者に敵意を向けさせるキャンペーンのことで、西側が東側を憎ませるのに利用されたということだ。「こんな国になっちゃうぞ」と。全体主義にしてもポピュリズムにしても、はなから自由主義で民主主義の国には関係ないことだと考えてしまう、それがいちばん危ないだろうと思う。

この話とは関係なく、東ドイツも行ってみたいなと思う。あともっとこっちに友達つくらないといけない。「出自の異なる人との共生には日常経験が重要」。ほんまそれ。会話もしないとね。