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その名はショコクス

今年はクリスマスマーケットは中止だ。

ほんとだったらあちこちの教会広場に市場が並び、ソーセージやホットワイン、ギュロスやランゴシュ、スープやお菓子、手袋、帽子などなどを売っているのだけど、今年はない。街は静かだ。

ドイツのクリスマスマーケットに日本人の友だちが来たら、妻(ナディ)が必ず勧めるものがある。それがショコクス。Schokoküsseというのはチョコレート·キスという意味で、泡のようなクリームが入ったチョコレート菓子である。


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彼女が言うには勧める理由はいくつかある。まず、日本になく輸出もできないのでドイツでしか食べられない。日持ちしないし、気圧が低いと割れるから空輸できないのだ。そして、ショコクスに似たお菓子はどこにもないこと。ほんとに無いかは知らないけれど食感がたしかに独特で、チョコの中に詰まっているのは、クリームというより、ものすごくきめ細かい泡としか言いようのないものだ。

そういうわけで彼女に言わせると、今食べなきゃ損!、なのである。

ショコクスは昔、ネーガクスと呼ばれていたが、Negerはniggerと同じ黒人の蔑称なので今の名前に変わった。Twitterでこんな画像が出回っていて、

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お店のショコクスのポップに、

「親愛なるお客様へ

かつてどんなふうに呼ばれていたかは私たちには関係ありません。こんにちこれはショコクスと言います」

と書かれている。「Negerはniggerとは違って、別に差別的なニュアンスはないよ」そんなふうに言うドイツ人もいるが、もちろんそんなことはない。アメリカほど黒人差別が表面化して、社会問題になってないからといって余所事にはできない。日本もドイツもそうだろう。


それはそうと、この画像、妻もネットで見たようである。そして彼女は思い出したようだ。(今シーズン、ショコクス食べてないじゃない) と。

クリスマスマーケットがあれば回ってるあいだに必ず一度は食べるのだけど、今年はなくて忘れていていたのだ。そういうわけで、その翌日の土曜日に製造元まで買いに行った。フランクフルトから車で40分。ハインブルクのKöhler Küsseである。


ハインブルクは小さな町で、マイン川の向こうのGroßkrotzenburgには大きな原子力発電所があり、そればかり目立っている。かつて米軍の駐屯地があった地帯はフェンスに囲まれて同じ形の大きな兵舎がずっと並んでいる。マンションに改築するようだ。Köhlerのチョコレート工場の近くに瓦工場があり、ビルのように積み上げられた瓦が塀の向こうに見えて、それがちょっと面白かったけど写真は取りそこねた。とにかくそれくらいしか見どころはなさそうな町なので間違って観光で訪れないでほしい。


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閉店まぎわに着いたのに、工場に併設された店の前には長蛇の列があった。たぶんみんな考えることは同じで、列も例年より長いのだろう。チョコレートもいろいろ売っている。夏はアイスクリームを売ってるらしい。


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これがショコクス。チョコレートも買った。


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いろんな味の種類を買った。ココナッツ、モカホットワイン味、ラム酒、などなど。ショコクスは、似たようなものがスーパーにも出回っているのだが(そしてぼくも妻にそう言ったのだが)、あれらはやっぱり別物らしい。工場で直接買うか、そしてできればクリスマスマーケットで買って食べるのがいい。観光で来た人はぜひ。