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プリン和尚はその昔

沢庵和尚はその昔、大根を干して塩して沢庵漬けを作った。後世、その沢庵漬けをごきげんなレモン和尚がレモンイエローに染めたそうな(諸説あり)。

たくあんはwürzig。たいそうwürzig。塩と大根だけとは思えない。würzigというのはドイツ語で、スパイシーとか風味があるという意味なんだけど、どんな風味のことかと言うとちょうど沢庵や漬物の風味。漬物は塩辛さと酸味の他に何か、苦いような舌に残るような香りと味がある。あれがwürzig。チーズのパッケージによく書いてあって、würzigと書いてあるチーズは漬物に似た強めの風味がある。

味覚としては知っていてもそれを表す言葉があるのとないのとではなんとなく違う。これからは漬物以外を食べたときも、「漬物っぽい味」と遠回しに言わなくても、würzigとしてその味を分析的に認識できる。

 

プリン和尚はその昔、カラメルを作るため砂糖水を煮ているときの、現れては消え、膨らんでは弾け、ひとつになってはまたわかれ、徐々に粘度と褐色みを増していく、泡たちのブクブクブクブクを凝乎見つめて、ついに悲願の大悟を成就したそうな。

 

「これや!」

 

と。「これ。万物はこれ」と。しかしその悟りを書に著したり弟子に伝えたりはしなかった。拙僧はもう悟っておる、言葉にしようとするとそれは逃げていく、と。プリンは本山山麓の喫茶店でときどき出してます(数量限定)。


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