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記事紹介: 移民と労働市場

 

移民と労働市場に関するわりと最近の記事。

 

https://m.tagesspiegel.de/politik/studie-zu-migranten-am-arbeitsmarkt-politik-macht-fluechtlingen-das-arbeiten-schwer/24466174.html?utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com%2F

 

要点は、

 

  • 難民の3分の1が職を得ていて統合も以前より早い
  • しかし職業訓練不足や不安定な業種など問題もある
  • 移民が働きにくいのには法律の問題もある
  • 色んな意見に配慮した法律はときに複雑で不明瞭
  • 実践的な法律とよい行政運営が必要
  • 2015、6年の難民ラッシュは例外的な事態

 

 

 

Studie zu Migranten am Arbeitsmarkt

Politik macht Flüchtlingen das Arbeiten schwer

19.06.2019, 15:05 Uhr

 

労働市場の移民の研究

政治は移民の労働を困難にしている
 

Andrea Dernbach
 


難民は一方でより早く職を見つけている。しかし「象徴政治[パフォーマンスにすぎない政策のこと]と実用的でない[連合のための]妥協」は大きな障害だ、とベルリン研究所。

 

移民政策が相矛盾した目標を目指しているせいで、難民は働いたり長く続けられる仕事を見つけたり職業訓練を修了したりするのが困難になる。これはベルリンの人口発展研究所の研究結果だ。この研究によってさらに明るみにでたのは、難民だけでなく役人をも巻き込む官僚制の密林である。

これらすべては、新しく来た人々がドイツにもたらした言語の問題や資格や能力の不足の問題として深刻化していると「個人と制度の障害。難民の労働市場統合への長い道」という研究[論文のPDFリンク]のチームは書いている。

著者のTanja KiziakとFrederick SixtusとReiner Klingholzは、公開データから引用した数字を利用しており、その分析のためにメルカトル財団との彼女らの研究所の2回の専門家ワークショップの成果と26人の難民のインタビューから抜粋した。この議論の文書はそこで、激しい移民流入があったかつてよりも統合は素早く進んでいると評価した。

すでに1月にIAB(労働市場職業調査研究所)は、DIW(ドイツ経済調査研究所)と連邦移民難民局の社会経済の世論調査回答者について、2013年から2016年にドイツに亡命した人の3分の1以上が仕事をもっており、そのうち80%が社会保険加入義務のある職だったと立証した。

しかし、ベルリン研究所は職の質に難があるとし、「とりわけ建物の清掃や飲食業のような不安定なことが多い職種ではさまざまに支援の仕事が重要になる」と示した。2018年に社会保険加入義務のある職業を見つけた難民の3分の1以上は派遣業種で雇われているという。そしてそこから長く続けられる仕事にステップアップすることはたいてい失敗する、と連邦政府の情報を引いた研究で述べている。

 

 

各州は法律に異なる解釈をしている
 

たしかにドイツの政策や行政の責任ではない障害もある。それは言語の困難のほかに、故郷に残った親族を助けたり亡命の手引きをしてくれた人への負債の支払いをするために、すぐにお金を稼ぐ必要があることなどである。

しかし、難民の情報や、雇用者や役所の職員など集められた専門家の情報をみると、「制度的な障害はそれらよりも妨げになる」ということがわかる。さらに、働きたい難民は自治体や「福祉局、住居局、外人局、難民移民局支所、ジョブセンター、職業紹介所に」行かなければいけない。連邦制による権限の分配のために、各州が連邦法に異なる解釈をすることになる。たとえば、バイエルン職業訓練中の辞職は「難民にとってきわめて不利と解釈される」。

さらに難民の職業訓練の状況は明らかにドイツ人の職業訓練状況よりも、あるいはドイツのパスポートがないすべての職業訓練生の平均よりも、頻繁に終了する(37.5%対24.9%)。全体としては、高い中退率は若い人たちが職業選択を変えたり会社を変えたりすることに起因する。しかし難民はたいてい職業学校や言語のために失敗する、と共著者のFrederick SixtusはTagesspiegelで述べた。たしかに許可を得た人は職業訓練を開始してもよいが、職業特有の言語授業を受ける権利はない。さらに授業時間は職業訓練する会社の要件にも合わないことが多い。
 

 

子どもの割合が高く、大きな潜在性
 

さらなる妨げは連邦、州、自治体間の情報交換である。ITの規格がすでに極端に相異なるため情報交換は麻痺しているという。そして立法府がますます移民法を作っているので、それを適応するべき法的状態が雑然としており、はじめはまったく十分に実行において移行されない。住所義務が2016年に(再度)施行されたあいだは、難民の労働を直接妨げるものもあった。

ドイツでの彼らの家族の後続移民などの展望の不確かさは、彼らが新しい故郷としてのドイツとかかわり合い、ここで将来と向き合うことを妨げた、KiziakとSixtusとKlingholzは書いている。

2016年には11%が単科大学卒で、5%しか職業訓練を修了していなかったというような、しばしば嘆かれる資格取得の少なさはどうもじっさいはそうではないようだ。多くの難民は論文によると「亡命の時点で単純に専門資格をとるには若すぎた」という。全体として、若い人々、とくに子どもの割合が高いのは利点だという。「彼らは数年後にも労働市場の大きな潜在力になる」。
 

 

政治は決定できないと研究者

 

この3名は、問題の根源はドイツの政治が決定できないことだとしている。ドイツの政治は「保守から世界に開かれた進歩派まで」ドイツ社会のすべての立場を顧慮しようとし、右派の周辺やそれが強くなることを危惧し、またヨーロッパの近隣国から「そのいっそう制限的になる[移民]政策を模倣すること」を求められていると感じているという。

これらの混合は「実用的でない妥協や、ときには象徴政治に」つながると研究では判定されている。「研究成果では、実際にとられているやり方では多くのことがドイツで暮らす難民の状況を困難にしている。そして、同時に社会的立場間での真の均一化は実現できていない。」

 

法律はより少なく、実践を多く
 

Kiziak、SixtusとKlingholzは打開策として、よりよい法整備のための議会での発想の転換を提案している。苦労した連合のための妥協の成果であり、そのためはっきり定式化されておらず広く解釈でき問題に触れるだけで解決しない。そういった法律はむしろ断念したほうがよいという。

過ぎたるは及ばざるがごとし。新しい複雑化した法律はなかなか「スムーズかつ適切に」切り替えできないので、「立法は細部すべてまでは規定できず、いくらかの難しい事態の解決法は良い行政運営と実用的な法律にあるという認識」という認識が政治には必要になる。

そしてさらに政治が認識すべきことは、2015年と2016年がピークの難民流入の多さのような例外的な状況は例外的な規則をもって解決されるということだ。これは、すでに連邦労働局の労働市場・職業調査研究所が提案していた期日規則にあたる。それは2017年の終わりまでにドイツに来た人はひとまとめにして期限つき在留許可が得られ、それを統合の度合いによって延長するというものだ。そうすることで迅速に必要な権利保障が得られ、労働市場への道が容易になる。現在の難民危機から移民管理の新しいシステムを作り出す試みは不可能だと彼女らは宣言する。「例外的な状況は将来の路線を定めるのには適さない。」

 

 

さまざまな政治的立場に配慮しなければいけないのは、そもそも移民の就労が増えればドイツ人の働き口が減って困るという本音があるからだろう。しかし一方で、排除してはいけないという名分があり、そのあいだでジレンマがあるせいだろう。

そこの妥協点を探ることが必要なんだろうけど、移民のせいで仕事が減る!とはだれもあまりはっきりと言いにくいのか、調べてもなかなかジレンマとの取り組みが見えてこない。

主な案内では「移民の統合は最優先です」みたいなお役所の麗句がでてくるだけだ。自分の体験として、

「外人局では、働くのは日本食のレストランだって言ってね。ドイツ人と求人で競合しにくいほうがビザとりやすいから」

と言われていた身としては、なんだかシラジラしい。

目下興味があるのは、移民の労働環境だ。移民政策が労働環境にどう影響するのか、いろいろ読んでみる予定。