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記事紹介: ドイツ建設現場での東欧移民の搾取

フランクフルトはヨーロッパではかなり高層ビルが多く、よくビルの工事をしている。以下の記事では建設現場の外国人労働者の状況が解説されている。

外国人労働者労働組合を頼りにくいのではないかと推測していたが、やはりそういう傾向はあるようで、相談に来ても名前を言いたがらない移民労働者が紹介されている。

前回紹介した記事に、60年代からトルコ人移民労働者の相談支援をしてきたÜlkü Schneider-Gürkanさんが話していたが、フランクフルトの労働組合にも移民のための相談所があるようだ。また同業者団体の活動もある。

ドイツでは外国人の不法労働を取り締まるのは関税だが、小規模な建設現場にはほとんどチェックが行き届いていないらしい。

記事では、工事入札での問題、違法な労働条件で雇う手口などが説明されている。解決のために労働組合や同業者団体の活動、政治の動きがある。

Deutschlandfunk Kulturの2019年2月20日のLudger Fittkauによる寄稿記事。

 

Ausbeutung osteuropäischer Bauarbeiter - Viel Arbeit, wenig Sicherheit (Archiv)

 

Ausbeutung osteuropäischer Bauarbeiter

Viel Arbeit, wenig Sicherheit

 

 

東欧建設労働者の搾取

多い仕事、少ない保障

 

ライン川マイン川地帯の工事現場には東欧出身の建設労働者が賃金減額と社会保障不足に直面している。関税が監査することになっているが手が回っていない。協会は対策を講じたいと考えている。

 

Ludger Fittkau

 

フランクフルト駅の地区にある古い建築の修繕工事。それは駅裏の現在修理中の建物だ。間借り人はのちにここに引っ越すことになっていると18歳のMaslum Bicerは言う。彼は、80年間フランクフルトを拠点にしている塗装業者のDiemerlingで職業訓練3年目になる。彼はマイン川河岸からそう遠くないこの建物で合計約3年間働くことになると見積もっている。

 

「ええ、まったく。私は、古いものを新しくできるこの仕事が好きです。こういった建物にはよくあることですが下塗りは完全にダメになっています。たとえばここにも3層重ねで水性ペンキが塗られた部屋がありました。それを私たちは完全に削って剥がさなけれなりませんし時間がかかります。こういうことがあるのは古い建物だけです」

 

Maslum Bicerのいる塗装チームは25人いて、非常に国際的なメンバーだ。彼の上司のFelix Diemerlingもそれは認めている。

 

「私たちのところでは変わったふうに混ざり合っています。ドイツ人の従業員もいますし、トルコの背景をもつ従業員、ブルガリアルーマニア出身の従業員もいます。私たちのところで社会保険加入義務ありで働いている人はみなとても優秀で働き者の手工業者です。すべて問題なしです」

 

従業員が社会保険加入義務ありで働いていることを、Felix Diemerlingがとくべつ強調するのには理由がある。彼はライン・マインの塗装上塗業団体の代表でもあるのだ。この手工業者団体は数週間前に「Initiative Faires Handwerk」を始めた。それによってこの分野での社会福祉が保障された公正な労働条件が完遂されることになっている。この塗装業者団体はとくに地域の工事現場での賃金引き下げや不法労働を防止する。

 

「私たちにはこの2つの重要事項がありますが、どちらもつまるところは、市場参入者が意図的にルールをかいくぐっているために健全な市場価格をもてないことにつながっています。根本的には下請けの下請け業者という連なりであり、その末端にみなし自営業者とされるじっさいには権利のない日雇労働者がいます。被雇用者の権利をすり抜けるためにみなし自営業者にされるわけです。傷病時にも払われる継続賃金をはじめ、労災保険最低賃金を守った給料、などなどです。そしてもちろんこれらすべてのルールがすり抜けられれば真面目な企業は競り合うことはできません。市場価格がまともでなくなるからです」

 

国際詐欺の仕組み

100mちょっと西への場所移動。ドイツ労働組合連盟の建物もマイン河岸から近いフランクフルト駅地区にある。この建物の一階には相談所「Faire Mobilität」が入っている。ここではとくにルーマニアブルガリア出身の移民労働者が相談に来る。彼らはライン・マイン地区の工事現場で賃金について騙された感じたり、集合宿舎への収容で搾取されていると感じている。

 

相談所には今日は2人のルーマニア人が来た。彼らは名前を言いたがらない。Michael Baumgartenはアドバイザーのひとりでルーマニア語を話す。彼が2人の話すことを訳した。

 

「彼らはセルビア人が管理する仕組みで働いています。彼らは1日10時間のルール内で働きます。そして50:50ルール適用された不法労働の仕組みの中で労働します。これはつまり、給料の一部は給与明細に記載されて公式に口座に支払われるが、他の一部は隠れて支払われるということです。そのため彼らは週に55時間働いても、年金受給資格がなく、継続賃金もなく、休暇も取れなくなります」

 

にもかかわらず南東ヨーロッパ出身の多くの建設労働者はこれらの不法労働の不利な地位に甘んじている。それは故郷でレンガ積みや木工、型枠工事や鉄筋工事で働くよりも常に差し引き2倍以上稼げるからだ。しかし彼らの給料の一部はすぐにフランクフルトの高すぎる家賃のために取り上げられるとルーマニア人の工事人のうちの一人が話す。

 

「彼らは宿舎に不満があります。彼らは300ユーロ払ってベッドが4つある一部屋に入っており、これは本当にきつい環境です」

 

この地域の塗装業者団体のFelix Diemerlingは移民労働者が述べるこのような状況を知っています。

 

「ええ、これは私たちが今動かなければいけないと言ったそもそもの発端でもあります。たとえば2013年にフランクフルトの解体工事現場で労働者がゴミ箱用の小屋で寝泊まりしているという状況で、その写真もありました。当時私はそれにショックを受けました。そしてドイツのような豊かな国にとって一つの恥でもあります。それは今は確かに強烈な事例ですが、起きてはならないことでもあります。もっと頻繁にあるのは、小さいアパートを借りて2つ部屋がある住居に10~15人を収容するケースです。たいてい彼らはそれでもかなり高い家賃を払わないといけないので、それだけお金ができます。もちろんこれは非人間的な状況です」

 

年金は少なく傷病・休暇手当はない

彼らはここドイツでこれほど搾取されるとは想像できなかったと2人のルーマニア人は労働組合の部屋で話す。彼らの賃金の一部が非合法にしか支払われないことで、彼らは年金受給を失う。もらえるはずの傷病や休暇の手当も受け取れない。下請け業者が活動しているドイツの工事現場では、ルーマニア人だけがこの経験をしているわけではない。Ivan Ivanow は自身がブルガリアにルーツをもつのでここでとくにブルガリアの移民労働者の相談を受けている。

 

「どんな方法であれ、人々が搾取されています。東欧出身の被雇用者を抱えてきちんと給料を払わず、きちんと申告をしないこれら多くの建設会社は、できるだけ素早くこれらの人々を犠牲に大きな利益を上げたいと思ってそうしています。またしばしばこの人々は正当な給料をもらえないこともよくあります。給料の一部をもらえないか、まったくもらえないことがあります」

 

建設労働者へのこの組織的な詐欺は国際的に計画されている。2人のルーマニア人が働いている会社はセルビア人が管理している。相談所職員のMichael Baumgartenはこの業界を支配する犯罪の活動力について話す。

 

「何人かの業界の大人物やその名前が知られています。また今や非常に大きくなった会社も知られています。しかしいくらでも新しい会社が現れます。組織犯罪にはある種の一致があり、それによって情報が交わされることで枠組みとなる条件の変化に対応しているということが分かります。もし今たとえば関税の取り締まりが増えたとしたら、人々が本当に100%違法に働くことはもっと稀になるであろうことも分かります。しかし私たちがここで聞いたような雇用契約は結ばれています」

 

 

規則は守られるべきだと大臣は考える

30kmほど西。ヴィースバーデンの城館。この19世紀前半の建物には、現在、ヘッセン州議会の場がある。Lucia Puttrichはこの古い美しい議会広間でインタビューを行なった。このCDU政治家はヘッセン州の欧州情勢担当大臣で長年不法労働や建設での他の違法な計画の問題に携わってきました。また自身の見解からもだ。というのもLucia Puttrichは塗装業者の家庭出身で彼女も長い間親の会社で働いていた。ここで低賃金労働者として搾取される東欧の手工業者の労働力が、母国での経済的・社会的な日常には不足している、とインタビューで彼女は述べている。

 

「ええ、私は社会という側面から目を逸らしてはいけないと思いますし、そこで明らかなことは、どの国家もまず最初に自分のところで経済的にうまく運ぶようにすることに責任があります。そしてそれにもかかわらずEUは連帯共同体でもあります。ある者が他の者を犠牲にして成功しているという印象が生じたなら、そのような共同体はうまく働きません。たとえば東欧諸国からそれらの本国では不足している専門的人材が私たちのところに来た場合に、私たちは特別大きな課題を抱えることになります。その限りでは私たちはすべての国で生活条件を同じようにしてある国が他の国を犠牲にして生きないようにすることに関心をもたなければいけません」

 

Lucia Puttrichは、建設現場には不法労働を阻止したり被雇用者の権利を認めさせるための国の監査が少なすぎるという労働組合や手工業者団体の苦情を知っています。建設現場の公的監査は関税の管轄です。一方でヘッセン州の欧州担当大臣の管轄ではなく、連邦財政大臣の管轄です。しかし、

 

「規則がある以上それは遵守されなければいけません。そうでなければ法治国家あるいは法治共同体は信用に足らないものになります。なのでそのためには規則があるなら取り締まりも必要です」

 

関税の取り締まり: めったにないか、まったくない

不法労働や、国庫と社会保障財政における詐欺と戦うドイツの建設現場への関税の取り締まりは通常は労働者に対抗しているわけではありません、とMichael Baumgartenは強調する。彼はフランクフルトのDGBビルの相談所「Faire Mobilität」の職員だ。

 

「この場合、関税は捜査機関です。さいわい関税がそう規定されているので、被雇用者は基本的に雇用者のようには責任を問われる立場にないと関税は言っています。というのも社会保障を実施して税金を払わなければいけないのは雇用者だからです。したがってこの人々が自分で自分を有罪にしたり、そのために恐れたりするの本当は問題ではありません。雇用者と被雇用者の取り決めが今本当に立証された場合は別ですが」

 

フランクフルトの彼の建設現場では塗装業者のFelix Diemerlingが彼の関税局との経験を説明しています。ちょうど駅裏の地区の建設現場のような小規模なところは事実上一度も取り締まりされておらず、関税は大規模な現場に限定しているとDiemerlingは話す。

 

「まずひとつには人員が少なすぎることが原因だと思います。予定した役職はあってもすべてが埋められるわけではありません。政策はいつでも大量の役職があるかのように行いますが、書類上だけです。それから同僚が私に関税について言っていたことですが、彼らもまた官僚制に強く組み込まれています。彼らは1日は外に出て、3,4日は書類仕事をします。本来はまちがいなくもっと近くに来ないといけません」

 

建設労働者は国家に義務があると考えている

ライン・マイン塗装業者団体の意見によると、政治はEU規模での大きな公共建設現場への入札にももっと取りかからないといけない。ここではたいてい建設業の一番低賃金の労働力提供業者が雇われるとFelix Diemerling:は批判します。

 

(中略)

 

塗装業者Felix Diemerlingは、ドイツやEU公共工事の入札でも労働協約が遵守するためにEU外の国々で倣うべき例を挙げています。

 

「まったく単純な解決策もあります。たとえばカナダでは、入札時に単に二番目に安いものを採用しています。これでまったく異なる計算圧力が生じます。スイスでは少し複雑な手続きがあり、中央価格が設定されそれに近い業者が受注します。簡単な解決策もあるのです。私の印象では政治の中でまったくこれを議題化するのに至っていないのでしょう」

 

(中略)

ドイツ全体のイニシアティブへの関心

Felix Diemerlingはそういったことを嬉しく聞いている。彼は、ちょうど今始まったライン・マイン塗装上塗業団体の「Initiative Faires Handwerk」が地域を越えて大きな関心を引いていることについても嬉しく思っている。

 

「今ほんとうに驚いているのは、ドイツ全体でそれに関心があることです。この活動はニュースレターを通じて私たちの連邦協会が送りました。ほんとうに国中から問い合わせがあります。ザールラント州協会、カイザースラウテルンから、バーデン・ヴュルテンベルクから。昨日私にバーデン・ヴュルテンベルクから漆喰業団体から連絡があり、今彼らと集まります。彼らも参加するかもしれません。これはとても喜ばしい発展です」

 

「私たちはこの関心に満足しており、それが継続されることを望んでいます。そして何らかの形の規制があることを願っています」